5月のおはなし ~安居してみませんか~

表題は「あんご」と読み、仏教における屋内修行のことを言います。
古代インドにおいて仏道修行の際、はからずも小動物を踏んで殺生をしてしまうことがないよう、小動物の活動が活発になる雨期は屋外に出ず、居宅にこもって修行していたことが元となっており、天台宗では夏安居(げあんご)と言って回峰行者が比叡山の麓の葛川で行うものが知られています。

外出の自粛が呼びかけられ自宅で過ごす時間が長くなっている中で、我慢を強いられているという気持ちで悶々と過ごすか、それとも折角だから自宅でも健やかに過ごせるように工夫をしてみるか。
とらえ方ひとつでその時間を過ごす楽しさや満足感は大きく変わるものです。

某タレントさんが仰られた、自らを守り罹患しないよう努めること(利己)により他者への感染拡大防止となる(利他)、利己と利他の循環が生まれますように、という言葉を仏教的に言えば「自利利他・自行化他」となり、自らの仏道修行により得た功徳を自分が受け取るとともに、それを決して独り占めすることなく他者の利益となるようはかることを意味します。
自分が家にいることが誰かの為にもなるなら、まさしくそれは自利利他ですし、そこにさらに写経や止観(座禅)などが加われば功徳も一入でしょう。

さあ、安居してみませんか。

座禅止観で大切なのは呼吸です。ゆっくりと大きく、それでいて静かな呼吸を心がけましょう